魂に効くブックレビュー その1
『あたまにつまった石ころが』
キャロル・オーティス・ハースト 著 千葉 茂樹 訳
光村教育図書(対象年齢:およそ小学校中級以上)
あらすじ
切手にコイン、人形やジュースのビンのふた。
みなさんも集めたこと、ありませんか?
わたしの父は、石を集めていました。
周りの人たちは言いました。
「あいつは、ポケットにもあたまのなかにも
石ころがつまっているのさ」
たしかにそうなのかもしれません・・・
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子どもの頃から石ころ集めに変わらぬ情熱を持ち続け、
どれだけ周囲の人に笑われても石集めをやめなかった、
作者の父の実話。
学歴はないけれど、
石を愛する気持ちは人並み外れていた。
大恐慌のさなか、その情熱と知識量を認められ、
科学博物館の鉱物学部長の座に
館長から推薦されるまでになる。
「ここに必要なのは、
あたまのなかとポケットが石でいっぱいの人なのよ。
あなたみたいにね。」
01年度ボストングローブ・ホーンブック賞
ノンフィクション部門オナー賞受賞作。
感想
肩の力の抜けた走り書き調のペン画に
透明水彩で色づけした、
さらりと軽やかな絵柄のごく薄い絵本。
でもその軽やかさにだまされてはいけない。
この絵本は、子どもたちに
自分の個性をいかに生かして
社会に貢献していこうかを考えさせる、
絵本版「13歳のハローワーク」なのだ。
自分の「好き」と「ワクワク」を追求しよう。
自分を殺すことで、ではなく、
生かし切ることで、社会に貢献しよう。
こんな人間として生まれてきたことには、なにか意味があるはず。
自分をこんな人間に作られたのには、神様に何か意図があったはず。
何をしているときが一番ワクワクするのか、
そのワクワクセンサーに従って生きていこう。
自分を生き生きと輝かせることは、
その光で社会を照らすことだ。
それこそ社会貢献への一番の近道なのだ。
中学生や高校生など、これから社会へ出て行こうとする世代に
読み聞かせしてみたい。
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「父が情熱をかたむけたのは、石や鉱物だけではありませんでした。
「学ぶ」ということそのものをこよなく愛し、尊重していたのです。
この絵本では紹介できませんでしたが、
博物館の鉱物学部長になった父は、働きながら大学に通いました。
ジョンソンさん(博物館館長)の計らいでした。
大学の若い同級生たちは、父を「おじいちゃん」とよんだといいます。
でも、その頃には、そうよばれてもちっともおかしくない年に
なっていたのです。
ジョンソンさんが退職すると、
その後を次いでスプリングフィールド科学博物館の館長に
就任したのは、なんと私の父でした。
父ほど幸福な人生を送った人を、私は他に知りません。」
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著者による後書きより。
『あまたにつまった石ころが』
キャロル・オーティス・ハースト 著 千葉 茂樹 訳
光村教育図書(対象年齢:およそ小学校中級以上)
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【♪魂に効く ブックレビュー♪】
1、『あまたにつまった石ころが』 キャロル・オーティス・ハースト 著 千葉 茂樹 訳
2、『ルラルさんのにわ』 いとう ひろし 作・絵
3、『ボビーとそらいろのヨット』 マーガレット・バーディック 作、 わたなべ しげお 訳
4、『ようこそ、おまけの時間に』 岡田 淳 作
5、クリスマス特集 『すてきな三にんぐみ』 トミー=アンゲラー作 『もちもちの木』 斎藤 隆介 (著) 滝平 二郎(絵)
6、『せかいいち うつくしい ぼくの村』 小林 豊
7、『はたらきもののじょせつしゃ けいてぃー』 バージニア・リー・バートン
『もぐらとずぼん』 作: エドアルド・ペチシカ 絵: ズデネック・ミレル 訳: 内田 莉莎子
8、『秘密の花園 (上)(下)』 フランシス・ホジソン バーネット 作、 山内 玲子 訳
『トムは真夜中の庭で』 フィリパ・ピアス 作 高杉 一郎 訳
9、『どんどこももんちゃん』 とよた かずひこ 作・絵
『ぼくがおっぱいを きらいなわけ』 礒 みゆき 作・絵
10、『くさる』 なかの ひろたか 『いわしくん』 菅原たくや 『みんなうんち』 五味太郎
11、『おおきなきがほしい』 さとう さとる 作・ むらかみ つとむ 絵
『あな』 谷川 俊太郎 作・ 和田 誠 絵
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スピリチュアルコーチ 珠帆 美汐(たまほ みしお)
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